クラシック入門のようなテーマの雑誌の記事や、テレビ番組を観ていると、「指揮者って必要なの?」という質問を、ときどき見かけます。その答えを、ひと言で表すのはとても難しいのですが、この本を読んでみるのも、ひとつの方法かもしれません

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指揮者の仕事は、本番の演奏会では、ほとんど終わっていて、その前のスコアの読み込みやリハーサルなど、準備のときに多いと言います。だから、演奏会だけを見ているかぎりでは、オーケストラだけでも充分じゃないかと思ってしまうのかもしれません

。でも、この『ベートーヴェンの交響曲』を読むと、ひとりの指揮者の、音楽との向き合い方に触れることができます。
スコアを読みながら、どのような音色、テンポにするのか、どんな表情をつけていくのか、プランをたて、それを実際の演奏におとして、イメージに近づけていく…。それは、どの楽器を演奏するときも、同じプロセスを踏んでいくのでしょうし、私も、今まで、ピアノを弾くときに考えていたことと似ていて、共感するところがありました。指揮者も、ひとりの演奏家なのですね

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この本の題材が、ベートーヴェンの交響曲だったというのも、私にとっては、意味のあることでした

。もともと、金聖響さんの、ベートーヴェンの交響曲にハズレがないと思っていましたが、この本を読むと、ナットクするところが多々あります。金聖響さん指揮の曲を好きになる理由が、そこにありました。
神奈川フィルに興味をもったきっかけの曲は、金聖響さん指揮、ベートーヴェンの
『交響曲 第4番 変ロ長調 Op.60』だったのですが、初めて聴いたのが、金聖響さんの指揮でよかったと、しみじみ思います。この曲は、私のお気に入りで、今、ヘビーローテーションで聴いています。他の指揮者の演奏だったら、こんなに好きにならなかったかもしれません。なにより、神奈川フィルの魅力を教えてくれたことも、今の私には大きな収穫でした

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ただ、欲をいえば、全9曲の交響曲を、各曲1冊に分けて、語り尽くしてほしいなと思います。特に
、『交響曲 第5番 ハ短調 Op.67 <運命>』は、個人的に思い入れが強い曲だからということもありますが、もっと、金聖響さんの分析を聞いてみたい気がして、この1冊では、物足りなかったからです。指揮者の仕事は音を奏でることで、語ることではないのは分かっているのですが、どういうアプローチをしているのか、もっと知りたいと思うのは、イケナイコトなのでしょうか

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今は、それが叶わないので、しばらくは、演奏会に足しげく通って、聖響さんが考えていることを、できるかぎり感じ取ってくるしかないようです。それで、私の欲求が、少しでも満たされればいいのですが…。
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