Happiness

チナ温泉にて


 チナ温泉に着いたのは、2日目の夜。
 せっかくなので、夕食後、温泉へ行ってみました。
 でも、着膨れしているうえに、ものすごく混んでいる時間に来てしまったために、着替えるだけで一苦労。ようやく中に入ると、屋内には、小さな浴槽が2つと温水プールがあり、少し離れたところに露天風呂があります。ミニ浴槽が混んでいたので、温水プールに入っていると、ギャランドゥたっぷりのアメリカンにからまれそうになったので、露天へ移動することに…
 しかし、この露天風呂、電灯がなく、とにかく暗い! どのくらいの広さなのかよく分からないし、そもそも足元がよく見えないので、急に深くなったり、場所によっては、お湯が異様に熱いところがあったり…と、いろんな意味でスリリングでした。
 そこで、3日目の朝(…といっても、夜中の3時までオーロラを見てたので、起きたのはお昼だったのですが)に、リベンジ決行です! 前日の夜と違って、昼間の露天風呂は、視界が開けたせいか、まったく印象が違っていました。フツーに、動物がお湯につかっていてもおかしくないような、自然味あふれる温泉で、遠くに雪山が見えたり、湯あたりしなければ、ずっといてもいいというような気持ちになりました。
 温泉の湯気が、すぐに凍ってしまうからか、岩に積もった雪が結晶のまま残って、それが花びらのようにみえて、とてもキレイでした。しばらくすると、髪についた湯気が凍って、イッキに老けこんだカンジに…。おもしろかったので、写真を撮ってしまいました! 老女、パーティへ行くの巻…でございます。この髪だと、どんなスタイルも思いのままなので、サリーちゃんのパパのようなヘアをしているツワモノもおられました。英語で、「バイキングみたい〜!」と言われていて、こんなところで異国にいることを実感してしまいましたが
 洗い場はないので、お湯につかっただけでしたが、やっぱり、温泉はいいものですね。日本から遠く離れた地で、雪見風呂に入れるとは思ってもみませんでした。これで、熱燗なぞあると、最高なのですが。オーロラ見て、温泉に入って…。これほど贅沢な時間を過ごせたのは久しぶりでした。たまには、こんな旅もいいものです。
 

We can make it

2.9撮影(3)

 
 
 どんなにいい音楽でも、演奏者のそのときのコンディションで、その良さを、聴衆に伝えきれないときがあります。また、どんなにいい演奏でも、聴き手が、上の空になっているときは、それを味わうことができません。それは、音楽の難しさのひとつだと思っています。できるだけたくさん、いい音楽と出会うには、高感度のアンテナを張って、いつでもキャッチできる体勢でいられることがベストなのでしょうが、なかなか難しいと感じています。結局は、タイミングが重要なポイントになってくるのかもしれません。
 オーロラを観ることも、似ているような気がします。オーロラは、一度出たら、ひと晩じゅう観られるワケではありません。突然現われ、アッという間に消えてしまいます。一度出たあとに、時間が経ってから、さらに大きいオーロラが現われることもあるので、気が抜けません。ずっと外に出ているほど観られる確率が高くなるのですが、着膨れしてても、寒いものは寒いので、そんなことはできないのです…
 チナ温泉は、スパと岩風呂がある、小さなリゾート地です。とある広告には、「温泉に入りながらオーロラが見られる」とありましたが、それは過言のような気がします。でも、オーロラ観測には適した場所で、ベスト・スポットは、同じ敷地内にあるセスナの滑走路のあたり。辺りには山しかなく、灯りもないので、オーロラがよく見えやすいのです。この滑走路のすぐそばに、24時間使える、控え室のようなアクテビティーセンターという施設があって、私たちは、そこでオーロラが出てくるのを待ちました
 日本人はオーロラ好きらしく、日本人のツアー客らしき人たちばかり。日本人でない人を探すのが難しいくらいで、一瞬、海外に来たことを忘れてしまうほどでした。オーロラを待つ間、することもなく手持ちぶさただったので、周りの人が話している、日本語をチラ聞きしていると、なんと、デジカメでもオーロラが撮れることが判明! 
 前日のツアーで、カメラマンさんが、オーロラを撮るには、シャッター速度を遅くしないといけないと教えてくれました。それで撮影するには、カメラを固定させないとブレてしまうので、三脚が必要だったり、極寒の地では、カメラに結露がついたり、電池の消耗が激しかったりするので、まったく知識のない者が、きちんとした準備もせずにやってもムダだろうと、あきらめていたところでした。
 でも、普通のデジカメで、普通に景色を撮るように、オーロラの撮影に成功した人が、実際に、すぐそばにいるのです! さっそく手にしているカメラをいじりまくりました。普段、オートしか使ったことがないので、どうやったら、シャッター速度を遅くできるのかわからず、使ったことのないボタンを全て押してみたりしているうちに、友人が設定を変える方法を見つけてくれたので、条件だけは、整えることができました
 様子を見に、外に出たり、中に入ったりを繰り返しているうちに、オーロラ出現です! 撮影時のカメラのディスプレイは、まっくらなので、何が写っているかは、データが書き込まれるまで、まったく分からないのですが、夢中で何枚か撮っているうちに、オーロラの撮影に成功しました
 この日は3時まで粘ったのですが、夜の12時頃に見たオーロラが、一番、感動しました。オーロラといえば、写真のように、カーテンのようなものを、すぐに思い浮かべると思います。まるでドームの屋根のような、上から降り注いでくるオーロラを観ることができたのです。色が何種類かあるのは、本を読んだりして、知っていたのですが、あまり観たことのない形のオーロラが観られて、本当にラッキーでした
 明日は、いよいよ、最終日。また、新たな出会いを期待しつつ、就寝です

HORIZON

20080214005606[1]


 以前、教育実習に行っていたとき、指導教員のひとりに、「教師は芸人(のようなもの)だ」と言われました。授業中、観客である生徒を、どれだけ引き込めるかが勝負だというのです。特に、ツカミに心を砕いていましたが、これに失敗すると、後から取り返すのは困難で、ツカミの大切さを痛感したものです
 クラシックでも同じようで、作曲家たちは、考えに考え抜いたツカミをもってきています。個人的に、一番ヤラレタと思うのは、ベートーヴェンの『交響曲 第5番 ハ短調 Op.67 <運命>』でしょうか。インパクトの強い「音」を並べたと言ってもいいような出だし…。そして、曲が進むにつれて、何度も何度も、しつこいくらいに繰り返されるので、聴き手には、忘れようとしても忘れられないくらいに残り、曲の中に引き込まれていくのです。
 そういう意味でいえば、今回の旅行のツカミはオッケー。初めてのオーロラを見て、気持ちが高ぶっているまま、2時間程度の仮眠をとり、ツアーの第2楽章へと移ります。セスナに乗って、北極圏近くの国立公園「北極圏の門」内にあるイヌイットの村、アナクツビックへ
 アナクツビックは雪山に囲まれているので、フェアバンクスからは、空路の他に交通手段がなく、村へ物資を運ぶために飛ぶセスナに、私たちが同乗させてもらうようなカンジでした。そのため、機内は、通路ギリギリまで物資が積まれていて、着膨れした、にわかデブ-YAは、席に着くまでひと苦労でした。事前に体重を聞かれたのですが、それもナットクです。でも、申告したよりもかなり重量オーバーになっているハズ…。無事に飛ぶのか、ちょっと心配でした
 出発は朝の7時。まだ夜明け前だったので、空はまっくらでした。雪原と雪山に見入っていると、雪の大地の端から、太陽が昇ってくるではありませんか! アラスカの空は美しすぎます。夜はオーロラ、朝はサンライズ。私にとっては、贅沢すぎる組み合わせでした。 
 アナクツビックでは、小学校の中に入れてもらいました。ちょうど、土曜で学校はお休みだったので、教室の中を見ることができて楽しかったです。キレイな学校で、家庭科の授業で使うため、洗濯機が置いてあったり、生徒ひとりに1台、PCがあてがわれていたり、自分のときの小学校とのギャップに、驚きの連続でございました
 昼食後は、ガイドさんが運転するスノーモービルでの雪原ツアー。運転席の後ろに1人、スノーモービルが引くソリに2人が乗ったのですが、ソリに乗るのが一番、スリリングでした。スノーモービルから吐き出される雪が顔に吹きつけてきて、気が付くと、目がほとんど開かない状態です。視界の90%以上を奪われているため、どこをどう進んでいるのかわかりません。ディズ○ーランドのスペースマ○ンテンもビックリです。とにかく、振り落とされないように必死でついて行きました
 北極圏の地平を、上からも下からも堪能できて、デブ-YAは、お腹いっぱい 。でも、デブ-YAは欲張りなんです。ツアーから帰ると、夜のオーロラ・ハンティングのため、息つく間もなく、この日の宿泊予定地、チナ温泉へ向けて、出発しました。 

とまどいながら

キングサーモン


 今でも、かなりの頻度でやってしまう、ジャケ買い。
 収録されている曲を聴かずに、ジャケットの印象だけで買ったのに、思わぬ出会いが待っていて…なんていうことは、よくある話で、そんな出会いを求めて、ときどき、某CDショップ(H○V)を、長時間さまよい続けております。こうして収穫したアルバムたちを、初めて聴くとき、期待どおりのものなのか、そうでないのか、ロシアン・ルーレットのようなドキドキ感…。本当に、たまりません
 フェアバンクス国際空港に着くと、そんな気持ちに似た思いで、いっぱいになりました。今夜から、いよいよ、3日にわたる、オーロラ・ハンティングの始まりです。ガイドさんの話によると、ここのところのアラスカの気温は、マイナス40℃。かなり寒いということは分かっても、どのくらいの寒さなのか、想像もつきません。私たちの準備してきたもので大丈夫なのか、不安ととまどいを感じます。でも、今夜の天気は晴れ。オーロラが見られる確率は決して低くありません。とにかく、前へと進むことに。 
 オーロラの観察時間は、夜10時から3時頃までの予定。まずは、長期戦に備えて腹ごしらえ。キング・サーモンをガッツリいただきました。部屋に戻ると、今夜の準備開始です。どれだけの寒さなのか見当もつかないので、とにかく、日本から持てるかぎり、トランクへ詰め込んできた衣類を着こむと、イッキに、デブ-YAの仲間入り。着込んだ服が重くて肩が凝るし、靴ひもを結ぶのに、かがむのもタイヘンでした。慣れないデブ-YAライフに、悪戦苦闘です
 オーロラ・ハンティング第1夜目は、チナ湖で、プロのカメラマンに、オーロラと一緒に写真を撮ってもらうツアーに出ました。私たちシロウトでは、とてもオーロラの写真など撮れそうにないので、これが、いい旅の記念になることを願って、チナ湖へ向けて出発です
 凍ったチナ湖上に建つ小屋の中で、ひたすらオーロラを待ち続けます。午後11時頃、まず、薄くて白っぽい、帯状のオーロラが出現していました。でも、主役のお出ましには、まだ早いようです。しばし待つこと、1時間強。北の空に、みごとな緑色のオーロラが…! おまけに流れ星も発見です。幸先のいいスタートが切れて、私たちのテンションも最高潮
 こうして、不安と期待の入り混じった、ファースト・オーロラ・ハンティングは、成功に終わったのでした!
コピー 〜 アンカレッジ


 今年は、オリンピック・イヤーですね
 オリンピックといえば、長野オリンピックの開会式が印象に残っています。小沢征爾さん指揮で、北京、ベルリン、ケープタウン、ニューヨーク、シドニーの合唱団と、ベートーヴェンの『交響曲 第9番 ニ短調 Op.125 <合唱つき>』が演奏されたんですよね。日本、中国、ドイツ、南アフリカ、アメリカ、オーストラリアで、同時に演奏を始め、6ヶ所の映像を見ながら、曲は進んでいきます。途中で、ケープタウンが日の出の時刻になったとき、合唱団の後ろから太陽が昇ってくるさまが、また曲を盛り上げて、本当に感動しました。
 衛星中継というと、少し前の、いっこく堂さんのネタのように、画像より音声が少し遅れるという特徴がありました。それが、当時の最新技術でカバーされていて、それぞれの場所で同時に、同じ音楽を奏でているという空気が伝わってきたものです。普段、違う言葉を使っている人たちが、音楽で、ひとつのものを表現している瞬間を観て、心を動かされました。
 このたび、縁に恵まれて、アラスカへオーロラを観に行くことになりました。成田から、シアトル、アンカレッジを経由して、フェアバンクスへ…という長旅です。機内では、思う存分、映画を観ようと思っていたのですが、アメリカの航空会社だったので、字幕ナシ。頑張って、『X‐File』を観てみたのですが、私の英語力では、5割くらいしか理解できませんでした…
 そんなとき、音楽のメニューに、ウラジミール・ホロヴィッツさんの名前と、ショパンの文字を発見!『ピアノソナタ 第2番 変ロ短調 Op.35』や、 『ポロネーズ イ長調 Op.40-1 <軍隊ポロネーズ>』『ポロネーズ 変イ長調 Op.53 <英雄ポロネーズ>』『幻想即興曲』などなど、超豪華ラインナップで、めまいがしそうになるくらい、コーフンしてしまいました! 
 このときの、私のヘヴィ・ローテーションは、『ポロネーズ 変イ長調 Op.61<幻想ポロネーズ>』。ホロヴィッツさんの雄々しいポロネーズは、これから始まる旅に向けて、さらに私の気持ちを奮い立たせてくれ、こんなところでもまた、音楽の凄さに気づかされる私でした
 言葉よりたいせつなもの。思えば、今回の旅は、そんなものを発見する連続でもありました。言葉の通じない場所で、そこでしか得ることのできないものを得てきた気がします。そこで、これから、しばらく、そんなことを書き綴っていく予定です。どうぞ、お付き合いください。
 ちなみに、写真は、ホロヴィッツさんのショパンを聴いて、感動さめやまぬまま降り立った、アンカレッジ国際空港です
 

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